新しく完成した家屋を祓い清める必要があるのか?という疑問が湧くかもしれません。その答えは必要といえます。その理由は以下の点です。
①人は生きているだけで罪穢れを負う
家を建築するという事は何百人もの職人さんをはじめとする技術者・設計者が関わります。神道では「人は生きているだけで罪穢れを負う」ものとされています。例えば「肉を食す・職場で同僚の悪口を言う・その他」です。それを祓い清めるのが大祓いの儀(神社で半年に一度行います)ですが、それを受けずに建築に関わる方も多いかと考えられます。その罪穢れが完成した家屋についているかもしれません。それを我々神職が新宅祭にて祓い清めるという意味合いがあります。
②近年では上棟祭を簡略的に行う傾向があるため
家を建築するという事は多大なる財の象徴です。施主様の周辺の方々からの妬み嫉みによる厄(わざわい)や魔事(まがごと)がもたらされるかもしれないと昔は考えられていました。それを回避する意味合いから上棟式において餅を撒き、銭を撒くことで福を分け与えていたものです。「妬み嫉みをおこさないでくださいね」という気持ちです。
③禍福(かふく)は糾(あざな)える縄の如し
家を建てるという事は人生においてそう多くはない一大イベントです。良いことがあればそれ相応の悪い事も起きるのではないかと昔は考えられておりました。「家を建てたら三年気をつけて」と聞いたことがあるかもしれません。それを事前に回避するのが新宅祭において行われる「祓い」「御祈祷」なのです。